香とかな文字

藤乃香では、香道のお稽古に加えて、別枠で筆ペンによる「かな書道」を少しずつ取り入れています。

香道の世界から離れてしまうことでもあるので、あえて「藤乃香」としている理由の一つでもあります。

きっかけは、香道にある「執筆」という役目です。

流派によって、その記録紙の書き方は様々なようです。

【風に散る紅葉はかろし春の色を 岩根の松にかけてこそ見め 紫の上】

この時の執筆は母です(笑)

私が二つ当りで御正客から3番手でしたので、この記録紙をいただきました。

(どこか間違えていたらしく、必死で奪い取ろうとしてました。どこでしょう?(笑))

お答えの書き方、和歌の選定はその時々の香席・執筆者によって変わります。

その書く文字はやはり かな文字 です。

香席では、このように執筆が記録をしたためたり、お客様が色紙や短冊などの文字を拝見します。
美しいかな文字をすらすら読めることは、香道をより深く楽しむための一つ!

そう思うようになってふと気づいたとき、その執筆のお役目を次世代につなげることをしていかなくてはならないと気づきます。

私が気づいて習い始めたように・・・。

そんな想いから、まずはお稽古を半年以上続けている方を対象に、希望者を募って始めることにしました。

もちろん稽古場に墨を筆を持ち込むことは時間的にも環境的にも難しい。

そんな時、書道の師範仲間から良い筆ペンがあるよ~と教えていただき、かな文字の小筆さながらの使い心地、そして特別な下敷きの書き心地の良さから、このミニ講座を取り入れることにしました。

お手本をお渡しして、自宅で書いてきてもらい、稽古後に添削をする方式です。

最初は古典のかな「いろは」を一文字ずつ臨書するところから始めます。

師範の師範のお手本を真似て書く。

わかっているけど、書けないもどかしさ。。。

でもここで無理やり修正をすることはあまり考えていません。読めればよい。

知っているかながあれば、その色紙が、短冊が一気に趣深いものへと変わっていくのですから。

お稽古後のアドバイスでは、筆ペン独特の力加減、線の太さ細さの使い分けを主に伝えます。

私とお弟子さんが頭を寄せ合って、この文字のこのあたりはこう書くのよ、と。

ご年配のお弟子さんの中には、ご病気でなかなか動かなかった指が、かな書道を習い始め、毎日稽古していたら少しずつ動かせるようになってきたという思わぬ成果も!

香道のお手前と同じように、かなを書く時間にも集中力が必要です。

筆先に意識を置き、一文字ずつ丁寧に追っていく。

すると、不思議なことに、書き終える頃には心がすっと静かになっている。

「香」と「書」。

一見すると別のもののようですが、どちらも自分の内側に、指先に、意識を向ける時間なのです。

お稽古を始めてしばらく経った方の中には、いよいよ次の段階へ進み始めた方も。

文字と文字をつなげて書く「連綿」に触れ、その美しさや、続けて書く楽しさを感じられるようになってきました。

一文字ずつ整えていた かな が、流れを持ちはじめる。

その変化を拝見していると、こちらまで嬉しくなります。

そして学んできた文字が生きているかのように動いていくのを、書き手のお弟子さん方が難しい!面白い!と嬉しそうに話します。

その先には、和歌や俳句をお手本に繋げていきます。

あと1年後くらいから始められるでしょうか?

お手本の和歌をひらがなだけで渡して、自分で文字を選び、文字と文字の間、全体のバランスを考えながら、一つの作品として仕上げていくことを目標にしていければよいなと思います。

そんな長い道のりを、ゆっくり楽しんでもらえたら・・・。

香道も、かな書道も、すぐに答えが出るものではありません。

少しずつ身につけ、年月を重ねることで、初めて見えてくるものがありますよね。

藤乃香の香りで繋がっていくお稽古が、そんな「積み重ねる楽しさ」を感じられる場所であればいいなと思います。

香を聞き、

文字を読み、

文字を書く。

日本の文化を学ぶことは、知識を増やすだけではなく、自分の感覚を少しずつ磨いていくこと。

それがいつのまにやら、嗜みを広げていくことに繋がっていきます。

そんな時間を、これからも大切にしていきたいと思います。

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高野 香聖のアバター 高野 香聖 香道直心流 師範 

香道直心流師範 着物着つけ技能士 書道家 占術鑑定士

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