~昇級という節目に寄せて 〜
このたび、
弟子3名が三級へ、
そして2名が四級へと昇級いたしました。
あわせて、人前で香道のお手前を披露する「組手前」にも臨み、
それぞれが、これまで積み重ねてきた学びを形として表す機会を迎えました。
組手前は、
ただ手順をなぞるものではありません。
それができるだけで良い、とも言われます。
でもその奥には、
静けさとともに多くの視線の中、
所作・呼吸・間(ま)・心のあり方までもが、自然と露わになる場です。
だからこそ、
教える側である私にとっても、
ここ数か月は毎回、簡単な時間ではありません。
「この段階で送り出してよいのか」
「まだ早いのではないか」
「人前に立つことで、かえって傷つかないだろうか」
そんな葛藤が、いつも胸をよぎりました。
それでも——
直心流の香道は、いつまでも内側だけで完結する学びではなく、
“場に立つ”ことで初めて見えてくる世界です。
当日、
一人ひとりの所作を見つめながら、
これまでの稽古の時間、迷い、努力、そして小さな成長の積み重ねが、静かに胸に迫ってきました。
完璧ではない。
けれど、誠実だった。
その姿が、何より尊く、誇らしく感じられました。
安堵しました。
弟子たちが一歩、前へ進んだこと。
そして同時に、
私自身もまた、「教える者として次の段階へ進まねばならない」と、今は深く感じています。
昇級はゴールではなく、通過点。
組手前もまた、完成ではなく始まりなのだと。
ここから先、
より繊細に、より厳しく、
そしてより深く、香りと向き合っていく時間が続いていきます。
弟子の成長は、
主宰である私に、喜びと同時に、さらなる精進を求めてきます。
この道を選び、
共に歩んでくれる弟子たちに感謝を込めて。
そして、香道という世界に、改めて身を正していきます。
静かに、でも確かに、
次の一歩を踏み出していきます。
(ぼかしてまでも、載せたかったのです)

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