香りが結ぶご縁ってあるんですよね。
全く知らない関係だったのに、この香りに惹かれて私のもとに入門してくださるお弟子さんたち。
いつもそのご縁の不思議さと面白さに、感謝と楽しさを味わわせてもらっています。
先日の稽古では、7月からの新弟子さんと、数ヶ月前に入門された方がご一緒にお稽古に。
4ヶ月の差――わずかな時間ですが、そのあいだに積み重ねてきた香りとの対話は、確かに表れています。

先に入門された方は、香りの輪郭や灰の感触を細やかに感じ取るようになり、香炉の前での佇まいにも、静かな落ち着きがにじみ出てきています。
一方、聞香の型に慣れ始めた新弟子さんは、まだ緊張が混じりながらも目の前の香りをまっすぐに受けとめようとする、みずみずしい感性が印象的でした。
香道に「優劣」はなく、あるのは「今この瞬間の感じ方」。
どちらが良い、ではなく、
それぞれの香りとの距離や、
心の揺れが自然とにじみ出ていて、
見ているこちらの心が洗われるようでした。
もう少しすると、ふたりの呼吸が少しずつ合っていくのです。
香炉を持つ手の高さ、
ふんわりしたスピード…。
そしてお稽古の最後には、それぞれの香炉の灰の固さを感じてもらいました。
やわらかく、深く、やや張りがあって崩れない。
私自身にとっても毎回毎回この灰手前は同じようにはなりません。
さらに今はまだフリーハンドでの箸目を入れる稽古中・・。
香りが紡ぐ静かな時間に、
あらためてこの道の豊かさを、そして深さを思います。
これからの季節、また一緒に、
香りを重ねていきましょうね!
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