香道をしていると、
人とのご縁もまた、香に似ていると感じることがあります。
無理に引き寄せようとすると乱れ、
期待を重ねるほど、本質から離れていく。
けれど、場を整え、心を澄ませていると、
必要なご縁は、音もなく立ち上ってくるのです。
香の前では、
肩書きも経歴も、一度畳の外に置かれます。
長く一線で活躍してきた方も、
これから何かを始めようとする方も、
ただ「香を聞く人」として、そこに座るのです。
香は問いません。
何をしてきたのか、
何ができるのか、
何を与えてくれるのか——。
ただ、その人が今、
どのような心で香に向き合っているかを、
静かに映し出すだけです。
だから私は、
人に期待をしすぎないようにしています。
同時に、拒むこともしないように心がけています。
私にできるのは、
香を丁寧に炷き、
場を整え、
その小さなサインを見逃さない心配りを持つこと——
それだけ。
もしご縁が動くときが来るなら、
それはきっと、
誰かが「役に立ちたい」と言葉にする前に、
誰かに「助けて」と願う前に、
気づいたら、整っている。
そんな形で、自然に現れるのでしょう。流れてくるものでしょう。
香席のように・・・。
誰も主張しないのに、
香だけが、答えを示す。
香道は、
香りを聞く時間であると同時に、
人との距離や、人生の呼吸を整える道でもあります。
今日も私は、
ただ香を炷きます。
ご縁は、
香が決めてくれますね。
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