——新年に寄せて
昨年末の稽古で、弟子からこんな言葉をかけられました。
「先生は、守破離の“離”の境地にいらっしゃいますね」
思いがけない言葉に、私はこう返しました。
そうなの? と。
香道における【守破離】。
型を守り、型を破り、そして型から離れる。
けれど本当の「離」とは、
型を超えて自由になることではなく、
香と人との関係性そのものが自然に立ち上がり動き出すことなのかもしれません。
だって、香から離れられないのですもの!笑
その話の中で、私はふと
「香がきいている」
という言葉を口にしました。
けれど、それは一方通行ではありません。
私は香からの香りのメッセージを聞き、
香は、私の呼吸や心のありようを聞いている。
お互いに、聞きあっている!!!
それが、私にとっての「聞香」です。
香は、嗅がれるだけの存在ではなく、
人もまた、香を支配する存在ではないのです。
そこにあるのは、言葉を超えた静かな対話。
この境地を少し感じるのだとしたら、
それはきっと
弟子たち一人ひとりの素晴らしさを、間近で見続けてきたからかもしれません。
それぞれが、それぞれの分野のプロフェッショナルなのです。
だから私は、
私にできることを、精一杯お伝えし、
香道を、ただ誠実に続けていくだけ。
教えすぎず、引っ張りすぎず、
けれど香と人のあいだに、そっと立ち続けるだけ。
新しい年もまた、
香とともに、そして人とともに、
聞きあいながら歩んでいけたらと思います。
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